健康的な食生活のために

健康的なライフスタイルには、適切な食生活が欠かせません。しかし、その具体的な内容は個人によって異なるものです。特に日本では、忘年会や新年会など、外食の機会が増える年末年始には、塩分過多の食事が増えがちです。高血圧の予防やケアを行っている人にとって、この時期の食事管理は特に重要となります。
そこで注目したい食事法が、塩分の排出を促すDASH(ダッシュ)食です。この食事法は、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにも掲載され、降圧のための食事療法の1つとして臨床の現場でも活用されています※1。米国国立心臓・肺・血液研究所による4つの研究でも、DASH食には血圧低下や心臓病のリスク軽減をはじめとする複数の健康効果があることが実証されています※2。
DASH食の特徴は、マグネシウム、カルシウム、カリウム、タンパク質、食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取することで、高血圧の予防や改善を目指す点にあります。具体的には以下のような食品群と1日の目安量が設定されています:
※日本人の食事摂取基準 2024年版参照(厚生労働省ホームページより)
【野菜・果物】カリウムの摂取に効果的です
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野菜類:350g以上。小鉢4~5皿程度(生野菜なら両手2杯分)
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果物類:200g以内。中型のりんご1個分、みかん2個分程度
【主食・タンパク質】食物繊維やたんぱく質の摂取に効果的です
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穀類:玄米や雑穀米をご飯茶碗1食1杯分程度
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肉魚類:青魚や鶏肉(ささみや皮を除いたむね肉)。それぞれ80~120g程度。
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豆類:納豆なら1パック、冷奴なら1/3丁程度
【乳製品・他】カルシウム・食物繊維・マグネシウムの摂取に効果的です
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低脂肪乳製品:低脂肪乳コップ1杯200m | と低脂肪ヨーグルト1パック(80~100g)程度
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ナッツ類:15g程度。無塩アーモンド10粒程度
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海藻類:50g程度。ひじきやわかめなど
DASH食の大きな利点は、各食品群の中から自分の好みの食材を選べる柔軟性にあります。例えば、和食の食材を中心に組み立てることも可能です。以下のような和食中心のメニュー例も参考になるでしょう:
【朝食の例】
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玄米ごはん(1杯)
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味噌汁(具だくさん)
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焼き魚(アジ・サバ・イワシ)※干物より生を利用
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ほうれん草とじゃこのお浸し
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納豆
【昼食の例】
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雑穀米(1杯)
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鶏のささみと野菜の炒め物
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小松菜ときのこの胡麻和え
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みかん
【夕食の例】
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玄米ごはん(1杯)
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お刺身
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わかめときゅうりの酢の物
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温野菜
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低脂肪乳製品のデザート
最初から推奨量を完全に満たす必要はなく、徐々に摂取量を増やしていく方法がお勧めです。科学的な研究によって効果が実証されているため、成果を実感しやすいのも特徴です。効果を実感できることは、その食事法を継続する大きな動機づけとなります。
DASH食は健康的な食生活を送るための一例ですが、その健康効果は非常に印象的です。ただし、どのような食事法を選ぶにせよ、最も重要なのは継続できることです。自分に合った方法を見つけ、無理なく続けていくことが、健康的な食生活の秘訣と言えるでしょう。
参考資料
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日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019」https://www.jpnsh.jp/guideline.html
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U.S. Department of Health and Human Services. (2021, December 29). The science behind the dash eating plan. National Heart Lung and Blood Institute. Retrieved March 2, 2023, from https://www.nhlbi.nih.gov/education/dash/research
【献立監修】株式会社エム・エイチ・アイ 管理栄養士